というわけで、結婚してください!

「尊くんが、どんなに頑張っても、仕事で上手くいかないこともあるだろう。

 清白の跡継ぎの座を奪還できるかもわからないし。

 そうすることが、尊くんとお前のためになるのかもわからない。

 お前たちの未来は、本当に見えてこないが。

 でも……

 どんなことになっても、お前がそれで幸せだと思っててくれれば、私たちはそれでいいんだよ。

 親なんて、そんなものだ」
と言ったあとで、晴一郎は言い訳がましく言ってくる。

「くれぐれも言っておくが、私は鈴に幸せになって欲しくて、征くんとの話を進めたんだからな」

 尊くん、と晴一郎は尊に呼びかけ、

「娘を頼みます」
と頭を下げた。

 お父さん……と涙ぐみながら、鈴は思っていた。

 ぽす……。

 今は、頭に乗らないでやって……。

 娘を送り出す覚悟を決め、頭を下げた父の頭に、ぽすは飛びつき、よじよじと登っていた。