「あら、誰か来たわ、征かしら」
扉が開く音と、地下に響く靴音に泉美は振り返ったが、数志だった。
軽く泉美に頭を下げた数志は、鈴に向かい、言ってきた。
「尊さんなら、来ませんよ。
上手く、二階に追っ払ったから」
「え~っ」
と落胆の声をあげた鈴は、
数志さん、やっぱり、敵なんですか~っ?
という思いを込めて、鉄格子を両手でつかむと、すがるように数志を見る。
すると、数志は、びくりとした顔をし、
「……そ、そんな捨てられた犬みたいな目で見ても、助けませんよっ」
と早口に言い出した。
すると、二人のやりとりを眺めていた泉美が、
「――まあ、じゃあ、ごゆっくり」
と言って、あっさり去ろうとした。
や、やっぱり、助けてはくださらないんですね、と思いながら、地下牢の前でも優雅に歩いていくその後ろ姿を見ていると、数志が、泉美に、
「窪田さんは一階ですよ」
と教えていた。
「あら、そうなの」
振り返った泉美は、あんな大きな息子が居るとは思えないその美貌で、ふふふ、と笑う。
く……窪田さん、逃げてください……と思いながら、鉄格子の中から、階段を上がっていく泉美の靴音を聞いていた。
扉が開く音と、地下に響く靴音に泉美は振り返ったが、数志だった。
軽く泉美に頭を下げた数志は、鈴に向かい、言ってきた。
「尊さんなら、来ませんよ。
上手く、二階に追っ払ったから」
「え~っ」
と落胆の声をあげた鈴は、
数志さん、やっぱり、敵なんですか~っ?
という思いを込めて、鉄格子を両手でつかむと、すがるように数志を見る。
すると、数志は、びくりとした顔をし、
「……そ、そんな捨てられた犬みたいな目で見ても、助けませんよっ」
と早口に言い出した。
すると、二人のやりとりを眺めていた泉美が、
「――まあ、じゃあ、ごゆっくり」
と言って、あっさり去ろうとした。
や、やっぱり、助けてはくださらないんですね、と思いながら、地下牢の前でも優雅に歩いていくその後ろ姿を見ていると、数志が、泉美に、
「窪田さんは一階ですよ」
と教えていた。
「あら、そうなの」
振り返った泉美は、あんな大きな息子が居るとは思えないその美貌で、ふふふ、と笑う。
く……窪田さん、逃げてください……と思いながら、鉄格子の中から、階段を上がっていく泉美の靴音を聞いていた。



