というわけで、結婚してください!

 本当に覚えていなかったのだ。

 征が笑っていたのも知らなかった。

 こちらには背を向けていたからだ。

 すると、征が語り出す。

「習い事の先生にお休みの連絡を入れるのを忘れていたとかで、スマホでメッセージを送り始めたんだ。

 習い事の最中に電話はまずいだろうとか言って。

『打つのは時間がかかるので、音声入力で入れますね。
 ちょっとすみません』

 と、お前は言った」
 
 ああ……思い出した、と鈴は思った。

 お休みの理由として、結納の話をしたら、噂好きの先生にあとで突っ込んで訊かれるに違いない。

 気乗りのしない結納なので、特に語りたくはない。

 そう思った鈴は、申し訳ないが、仮病を使うことにした。