というわけで、結婚してください!

「よく知らない征と結婚させらることになったのが嫌で。
 ただ、その状況から逃げ出したくて、俺と居ただけなんじゃないのか?

 いや―― そうだったよな。

 お前と居るのが楽しくて、なんとなく忘れてたけど、そうだったんだよな。

 お前は、連れて逃げてくれる俺と居る方が都合がいいから、一緒に居ただけだったんだよな」

 すると、鈴がそこで、怒り出す。

「なに言ってるんですかっ。
 なにひとつ、都合なんて、よくないですよっ!

 着の身着のままで連れ出されたせいで、お金持ってなかったから、なにもかも全部出してもらって申し訳ないしっ。

 それなのに、尊さんもやっぱり贅沢な暮らしが身についているのか、高い宿に泊まりたがるしっ」

 いや、そりゃ、お前を連れてるからだ……。

「途中で、ぽすの具合が悪いとか、お父さんが嘘言うからっ」

 ええっ?
 いきなり、わしの話かっ、と晴一郎が落ち着かなげに、二度、娘を振り返っていた。