というわけで、結婚してください!

「もういいよ、君」
と振り返り言うと、

「本日はお忙しいのにありがとうございました」
と頭を下げてくる。

 返事をしながら、車の方を見ると、運転している数志は珍しく、屋敷の運転手が被っている帽子を被っていた。

 こういう場に迎えに来るからだろうか。

 運転手は、泉美や父親に振り回されているようだし。

 自分は数志に迎えに来てもらう方が気兼ねがないので、運転手ではなく、数志に来てもらうことにしていたのだが。

 珍しいこともあるものだ、と思って、ぼんやり見ていると、後ろから、声をかけられた。

「帰るのかね、征くん」

 晴一郎だった。