ちょっと頭冷やしてくる、と言って、尊は部屋を出て行くことにした。
「俺は大浴場に行ってみるが、お前はどうする?」
と鈴に言ってみたのだが、
「いえ。
私はちょっと……」
と言う鈴の手にはスマホがあった。
何処にかけるつもりなんだろう、と思いながら、尊は離れを出、本館の長い廊下を歩く。
友だちになにか相談するとか?
親に電話するとか。
いや……
ようやく電話番号のわかった征にかけるのかもしれない。
……夫なのに、ようやく番号がわかったってのも変だが。
なにを話すつもりなんだろうな、と不安に思っていたが、問い詰めるより、鈴の気持ちを整理させてやるのが先だと思っていた。



