光が差し込む教会のステンドグラスを見上げ、ウェディングドレスを着た支倉鈴《はせくら すず》は思っていた。

 結婚式か。

 私のか?

 本気か?
 本当なのか?

 そうなんだろうな。

 後ろで両親が涙ぐんでるもんな。

 そんなことを考えている自分の横には、殴りたくなるくらい整った顔の男が無表情に立っている。

 会ったのは二回……

 いや、三回目か?
とまだ見慣れぬ夫、征《せい》の顔を見る。

 政略結婚にも程がある、と鈴は思っていた。

 一度目で、顔を合わせて、二度目で、結納で、三度目が今日だ。

 友人の葛葉《くずは》に言ったら、
「戦時中よりマシじゃん。
 写真見た次が初夜とかじゃないから」
と薄情にも笑っていたが。