「すみません。
あんなに走って、此処まで来たのに。
いいんですよ。
ぽすのことなら、公衆電話から電話して訊いてみますから」
と鈴が謝ると、
「そんな暗い顔してるお前を連れて歩いても楽しくないだろ。
必ず、また、九州に戻ってこよう」
と尊は言う。
なんとなく向かうことになった九州が、なにかの約束の地のようになる。
「そういえば、博多なんだよ、俺の新しい勤務地」
「え? そうなんですか?」
「あとでちょっと見に行ってみるか」
と言われ、はいっ、と言ったが。
でもそうか、と思う。
三日後、この人が仕事に戻るのなら、そこでお別れだよな。
いや……、これだけのことをしでかして、戻れるのかは知らないが。
まあ、数志さんの口調からすれば、すぐに戻れば、もみ消してもらえそうではあったな。
……帰ろうか、このまま、と鈴は迷う。



