その夜には葵くんから
何度も着信があった。


このままではいけないと
電話を取る。


「萌香!!!なんで出ねーんだよ」


色々楽しかったでしょう
私もこんな結末が待ってるなんて
思っても無かったわ
二度と会わないから
二度とかけて来ないで!
あんたのことなんか
これっぽっちも好きじゃないし
遊びよ遊び 楽しませてくれてありがとう
さようなら」


「おい!待て!」
葵くんは待てと言ってるが
私は電話を切った。


その後も鳴り響く音
着信拒否設定に登録した。


次の日
私は空港に向かった。


実家に帰る選択肢は無かったのだ
親に心配をかけたく無かったから。


事実を話したらきっと
助けてくれるかもしれない
だけどあの社長には
勝てないと思う
明くる日には逮捕になるかもしれない。
未成年淫行の罪で!
ここはとりあえず
社長の指示に従うしかない。


そして
かほりさんから電話がかかった
「どうしたの?
相談ぐらいしてくれても
いいんじゃない?」


「あれ?仕事中じゃないんですか?
電話大丈夫なんですか?」


「そんなこと言ってる場合じゃないわよ
もう出社してびっくりよ!
部長も課長もえ?って」


「でしょうね」


「もぉ!あなたね!
実家に帰るなら帰ると
一言あってもよくない?
突然 会社辞めるなんて!」


はは。。。
そう言う話になってるのか。



「ごめんなさい
また今度ゆっくりと話します」


「そうねぇ
急なことだったみたいだからね
お父さんとお母さんが
事故に遭われたって
本当に大変だったわね
早く良くなるといいわね」


事故。。。
社長が考えた嘘か。。。


「うんそうね
私も今 忙しいから
また電話するね
ここと実家は近いから
いつでも話においでね」



「はい」



かほりさんの番号も
着信拒否にしようと思ったけれど
それはしなかった。