帰り際 おばあさまから
白い封筒を手渡された。


「何ですか?これは」


「黙って持って帰ってちょうだい」


私は素早くその封筒を開けた。


その封筒には
100万円の小切手が入っていた。


「これは?」


「あなたをひどい目合わせて
これから宜しくね!
だけでは許せないと思うのよ
だから これで好きなものを買って」


「好きなものを買って!と言う
そんな金額じゃありません
頂けません!」


「黙って引き取ってちょうだい」


「ダメです!」


「葵と美味しいもの食べたりしてちょうだい」


「美味しいものを食べるとか
そんな金額じゃないですよ」


封筒はお互いの手を行ったり来たり
葵くんは「受け取っとけば?」と
笑いながら見ているだけ。


「だったら葵との将来のために
使ってちょうだいって
言うのがいいかしら?」


葵くんとの将来?
封筒は私の手で止まった。


「ばあちゃん!気が早いなぁ」


「ひ孫をこの手に
抱けるかもしれないじゃない?
早く結婚しなさい
私らも そう長生きは出来ないならね」


まさか結婚を急かされるとは
葵くんも思ってなくて
2人とも開いた口が塞がらなかった。


「でも!この100万円は多すぎます!」
また封筒はおばあ様の手に。


すると葵くんが
「オレが預かるわ
行き場のないこの小切手が可哀想」
とそれを受け取った。


「こら!葵!
返しなさい」と本気になるおばあさま。


最後は結局私の手に
「貰っときな!
おばあちゃんの気持ちだし
それ以上お金では表せないくらいの
苦労をしたのは萌香なんだから」と
葵くんが言うがお金だけは受け取れない。


「本当に受け取れません
ありがとうございますと言って
受け取るレベルの金額じゃないので」
と再びおばあさまの手に返した。