ただ、数秒。 互いの瞳にそれぞれを映し出す。 いったい彼の潤いに満ちた黒に、私はどういう風に映っているのだろう。 すれ違った刹那、ふわり、と彼の香りが鼻をくすぐった。 彼の名前は、日向大地。 廊下で会うたび瞳が合う男の子――――。