戻ってきた莉奈に後ろから話しかけられ、思わず肩が上がる。
そんな私の様子がおかしかったのか、莉奈は笑いながら目の前の席に座った。
それは平松君に教科書を渡し終えた事を意味するわけで、教室の後ろ側にいた彼の姿は気が付けば無くなっていた。
「美空?」
「あ、ごめん。ボーッとしてた」
「後ろに何かあるの?」
そう言って振り向く莉奈だが、そこには持ち主が不在の机と椅子があるだけで不思議そうな顔で私を見た。
それに気づかないふりをして、今度は本当に単語帳とにらめっこを続けたものの、結局その日の単語テストは悲惨な結果に終わったのは言うまでもない。



