呼ばれたその名前に思わずドキッとする。
分かってはいるものの彼の名前を呼んだ葉月(ハヅキ)君のいる、教室の後ろのドアに視線を向けてしまう。
「よっ、葉月」
そこには笑顔で教室に入って、近くの席に腰を下ろす日向君の姿が。
すぐに彼の周りには数人の男子が集まりだした。
……本当、莉奈が言ってた通り“学年の人気者”なんだな。
「で、お前A組に何しに来たんだよ」
「平松が教科書借りに来たから俺もついでに」
「とかいって俺らに会いたかったんじゃねーの?」
ハハハッとその場に明るい声が響いた。
「はぁ?んなわけねぇよ」
「照れんなよ大地ー」
「お前らとことんうざいな!ってか平松遅くね?」
キョロキョロと教室を見回す日向君。そんな様子を無意識のうちにボーッと見ていたようで。
「・・・―――、」
気が付けば、彼と瞳が合っていた。



