「ああこれ?あいにくだけど、作ったの嫁じゃなくて俺だから。今日娘が弁当の日だったからついでに作ったんだよ。」

そうだ。鋭太郎は妻が朝寝過ごすことを見越して、今日はいつもより早く起き、エナの弁当を作っていたのだ。
というより、妻は毎日のように朝寝坊で、亜久津家ではいつも鋭太郎が最初に起き、エナを起こしている。朝食も鋭太郎が作ることがほとんどだ。
挙げ句の果てに、妻は鋭太郎が会社に行っている間も家事をサボっていることがここ最近毎日のように続いている。

「アイツにエナを任せたら多分ほとんどお義父さんとお義母さんに押し付けるんだろうなぁ…でも俺が親権持つと思春期が……ああ!俺が母親なら良かったのに!!」