あの日、クリス様いえ、ロイ・フィリオ・クリス・3世様が去られてから、ミレイ様は元気に勉強したり、我々の仕事を手伝ってくれているようにみえるが、ぼーっと手鏡を見ていることが増えて、時々思い出したように目を潤ませていることもある。

名乗らずに去ってしまったせいだとも言えるし、仕方なかったとも思える。私にはできることがないのが歯がゆい。

「ねぇ、ユリン、これを見てって言われたけど、どういうことかしら、、、」

「そうですねぇ、、、例えばですが、これは使者の方が国から持ってきたものですよね。つまり、クリス様が向こうで持っていた、もしくは命令して作らせたものだと考えられます。この模様のような文字。私たちには見覚えがなく、読めませんが、意味があるかもしれませんよ?」

「すごいわ、ユリン!観察力が鋭いわね!」

「いえ。書物庫には様々な文字で書かれたものがあります。同じものを探してみたらどうでしょうか。」

「えぇ!そうするわ!ありがとう。」



えぇと、これは違うわね。こっちは似てるかしら。でももっと丸っこい字、、、あら、これに近いかしら、、、

でもこの書物は、、、