はしゃぐ高坂さんを遮ったのは、他でもない蒼くんだった。 「ごめん。急用」 「え?」 「今度なんか埋め合わせする」 「は、ちょっと、蒼!?」 突然蒼くんに右手を引かれ、そのまま人混みの中を小走りで進む。もちろん高坂さんはその場に置き去りで、状況が全く読めない。 「あ、蒼くん…っ!高坂さんは…!?」 「いいから」 いつもより少し冷たい声にそれ以上何も言えなくなってしまって。 口を噤(つぐ)んだ私は、とにかく転ばないようにだけ気をつけながら、蒼くんの背中について行った。