**** 「あーあ、また今回も出遅れたぁ」 人気のない空き教室にため息を含んだ声が響く、放課後。 「いつも一週間ちょっとくらいは猶予あるのにさ。今回の子、ルール違反じゃない?」 わざとらしく頬をふくらませて、不貞腐れたように机の上に座った白く細い足はぱたぱたと揺れる。 「俺の知らないところで変なルール作るのやめてくれない?」 「べつに、莉々(りり)が作ったわけじゃないし。アンモクの了解ってやつだもん」