水瀬くんは浮気をする生き物です




「…大丈夫だから」




少しだけ振り返った蒼くんは、いつもみたいに優しく笑った。



何にも気にしてないみたいに、ひどく優しく。




それが余計私の心を苦しくさせて、また喉に蓋をする。




「…早く用事済ませて行きなよ。忙しいんでしょ」



蒼くんの言葉に、返事はなかった。代わりに響いたのは、小さな舌打ち。




「本当、見る度にうんざりするわ、その顔」




踵を返してリビングから出ていくと同時に吐き捨てられた言葉は、いつまでもそこに残ってるような、そんな感覚に陥るほど、重たかった。