水瀬くんは浮気をする生き物です




「予定って、女と会うことばっかでしょ。何を一丁前に」



「内容はどうでもいいよ。それより、タバコ。俺だけじゃないんだから」



「……ガキのくせに気取らないでもらえる?」




ジュッ、と、嫌な音がする。シンクに残っていた水滴が、タバコの火と触れた合図。




「女癖悪いところも、冷静ぶってるところも…どんどん父親に似るね、あんた」




「そりゃどうも」




「…消えてくれればいいのに」





まるで、息の仕方を忘れてしまったみたい。



喉の奥に飴玉がつっかえたみたいに、息を飲むことすら許されないような、そんな空気に飲まれる。