蒼くん一人暮らしだし、気のせい?
少し身構えて玄関と廊下を繋ぐ扉に体を向けると、どんどん近づいてくる足音。
や、やっぱり気のせいじゃない!
もし変な人だったらどうしよう…!
「あ、蒼く…っ」
蒼くんを呼ぼうとした私があたふたしながら立ち上がったのと、リビングの扉が開いたのはほぼ同時。
「…っ、」
大きなキャリーケースを引きずって入ってきたその人は、ツヤツヤの黒髪ロングが印象的で。
真っ直ぐ切り揃えられた前髪は、どちらかと言えば今の流行りに逆行しているはずなのにスタイリッシュに見えるくらいの…美人だった。

