水瀬くんは浮気をする生き物です




「…ほんとに、数学は、全然だめ、で」



「ん」



「決して怠けてるわけではなく、真面目にやってそれ、でして…」





なんとか言い訳したくて口を開いたけど、それって一番恥ずかしいやつでは……?


怠けてる人の方がまだ救いようがある気が、する…。




「あの、でも、ほんと、次はがんば」



「じゃあ、数学だけ?」



「へ…?」



「教えるの、数学だけで大丈夫そう?」




はい、と思いのほかあっさりと手元に返ってきた数学のノートに拍子抜けして。




「朝言ったじゃん。勉強なら俺が教えるって」




「え、あの」



「とりあえず日曜日空けといて。また連絡するね」




いつも通りの優しい笑顔でひらひらと手を振った蒼くんは、そのまま教室を出ていった。