正直、後先なんて考えてなかった。 水瀬くんがあの日のことを覚えていてくれた嬉しさとか、今目の前で笑いかけてくれている奇跡とか、そういうことが全部無理矢理私の背中を押して、突拍子もなく吐き出された願い。 あぁ、可愛く自販機のジュースくらいにしておけばよかったのに、なんて。 ハッと我に返っても、時すでに遅し。 「…俺、浮気するよ?」 噂通りのその言葉と同時に、ホームに電車が滑り込んできた。