同じようにして改札を抜けた水瀬くんが私の手の中のパスケースを指さして。 「去年から使ってるでしょ、それ。見覚えあるなと思った」 パステルピンクのパスケース。あの日、水瀬くんが拾ってくれたもの。 「あれからもう落とさなかった?」 あぁ、まさか、そんなこと。 覚えてるのは私だけだと思ってたのに。