蒼くんの横に立つその人に、ひらひらと親しげに手を振る紫乃くん。 名前で呼んでるし、知り合いっぽい? 「きみは、初めましてだよね?」 「は、はい!一ノ瀬心和といいますっ」 「俺は一応この店のオーナーやってる水瀬(みなせ)雪也(ゆきや)っていいます。よろしくね」 水瀬って、蒼くんと同じ苗字だ。 黒縁メガネの奥でにっと横に伸びた瞳がどことなく蒼くんに似ていて、思わずきゅんとしてしまった。