「お前、この間の話聞いてた?三歩歩いたら忘れんの?ニワトリなの?」



「おぉ、こわ。そんな眉間にシワ寄せると綺麗な顔が台無しだよ〜?ね、心和ちゃん」




ニヤニヤしながら心和の顔を覗き込む紫乃。やめろこのクソ。




「とにかくなんでもいいけど触んな」


「わわっ」



いつまでも心和の肩に馴れ馴れしく置かれた手に腹が立って、それを強めに叩き落としてから心和本体を引き寄せると、俺の胸に飛び込んでくるような形になった。


少しバランスを崩した心和をそのまま片手で抱き込んで、目の前の紫乃を威嚇の意味を込めて睨みつける。もうさっさとどっかに行ってほしい。