白崎さんの溺愛


「聞いた?この前の期末の結果」

「ああ。また白崎さんがトップだって」

「凄いよねー。全部満点だったってマジ?」



たくさんの生徒達が行き交う、朝の廊下。

その廊下のど真ん中を、聞こえないフリをして歩く私。

白崎乃愛。

昔から勉強が好きで、スポーツも何だって得意で、噂じゃ少しモテるらしい。

…まぁ、他の男なんてどうでもいいけど。


「娘には何でも出来る子に育ってほしい」と常に願う母親の教育のお陰で、今の私には出来ないことなんてない。

だから、勉強やスポーツだけじゃなくて。

美術や音楽や料理の腕前もそう。人よりダントツに出来るように教育させてもらってきた。

そして、人に比較的「かわいい」と言われ噂されるこの見た目も。

オシャレだって、大好きだから。



「っ…やっぱ俺、告るわ!」

「やめとけって!相手にされないっつの」

「でもさ、白崎さんって、“アイツ”のこと好きって有名じゃん」



なんでよりによってアイツなんかな。

廊下にたむろする他の男子生徒はそう言うと、ため息交じりに私を見遣る。


…勝手にそうやって言っていればいい。

それでも私は、“彼”のことが大好きだから。


私は彼の顔を思い浮かべると、速足で教室に向かった。