白崎さんの溺愛

矢島くんがそう言うと、一方の一ノ瀬くんは何かを言いたそうに…だけど何も言わずに矢島くんから目を逸らす。

そしてそんな一ノ瀬くんに、今度は矢島くんは私の手を取って、私を自身の隣に来させて言った。



「悪いけど、そんな奴にもう白崎は返さないから」

「!」

「お前こそ白崎のところに来るのもう止めろよ」



そう言って矢島くんは、「行くぞ」と。

私の手を握ったまま、言い返す言葉を失っている一ノ瀬くんの横を通り過ぎて。

いつもの廊下を通り抜けていく。



「…、」



…助けて、くれた…?矢島くん…。

助けてくれたんだ…。

そう思うと、沸々と、嬉しさが込み上げてきて。幸せを感じて。

さっきの一ノ瀬くんへの苛立ちも、綺麗に無くなって。

私が、手を繋いだままの矢島くんにお礼を言おうとすると。

その前に、矢島くんがピタリと歩く足を止めて…言った。



「…ごめん」

「!」

「いきなり、話の途中に割り込んで」

「…」



そう言って、繋いでいた手をあっけなく離すから。

そんな矢島くんに寂しさを感じると、矢島くんが言った。



「…学校、来たら…なんか俺のこと話してんの聞こえてきて、覗いてみたら…お前と一ノ瀬で。なんか、空気がよくないように、見えて…ムカついて…」