白崎さんの溺愛


「だから何だよ」


「!!」



その声に、私はすぐに反応して…後ろを振り向く。

この声は…そう思って、一瞬にして期待すると。

私の後ろには、やっぱり、登校してきたばかりの矢島くんが立っていた。



「矢島くん…」



もしかして…今の会話を、聞かれていたのか。

私が思わず矢島くんの名前を呟くと、矢島くんは一ノ瀬くんの方を見ながら、怒ったような口調で言った。



「悪かったな。たいしたことなくて」

「…っ…」

「どーせ俺は、一ノ瀬が言うように勉強できないし、サッカーも足引っ張ってばっかだし、顔だってたいしたことない、全然。
白崎とつり合わないのも、自分が一番よくわかってるよ」



矢島くんは一ノ瀬くんにそう言いながら、私の横を通り過ぎて…目の前に立ってくれる。

…守ってくれているのかな。

こんな時だけど…私には何だかその背中が広く見えて。

それでも黙って後ろから見ていると、矢島くんが言葉を続けて言った。



「…っつか、お前が言ってるのは、ただのカッコ悪い嫉妬だろ」

「!」

「悔しいんだろ。今まで自分だけを見てたはずの白崎が、今度は全く違うタイプの俺を見るようになって。自分のことは一切見なくなって」

「…っ、」