「うわぁー!神社だぁー!!」

「えぇ。そうね。」

「お参りするのー?」

「そうよ。雨が止むようにお願いするのよ。」

木々が、生い茂る森の中にたたずむ天神様をお祭りしてある神社。

チャリンという、お賽銭が落ちる音がした。

それから、ガラガラと大きな鈴を鳴らして、パンパンと手を叩き目を閉じた。


「柚、お母さん、お家に忘れ物しちゃったみたい。少し、ここで待っててくれる?」

「うん!分かった!!」

「じゃあ、いい子の柚にご褒美をしてあげるわ。」

そう言うと、母親は紅を取り出して柚の唇に塗った。

そして、鏡を取り出し柚に見せる。

「ほら、きれいよ。柚。」

「ありがとー!お母さん!!じゃあ、待ってるね」

「えぇ。行ってくるわ。」

そう言うと、母親は柚をしっかりと抱きしめた。