さて、中に入ると入り口のすぐそばには、壁から飛び出したような作り物の置物が置いてあった。
目を見開いて、大きく口を開けるそれは何者かから逃げるような人間の顔で、更に怖さを増大させた。
思わずびくりと体が揺れる。
「大丈夫」
初めて会った時にも感じた、テノールの綺麗な声がかけられる。
手を握っててくれる空の頼もしさと言ったら絶大だ。
空は臆することなくみんなに続いて最後尾を進んでいく。
「うわあ、雰囲気あるね…」
「なんや、薄ら寒くなってきたわ」
ほぼ暗闇に包まれた微かな光の中、キョロキョロと辺りを見回す琉羽と光邦。
「すごいね。この装飾もリアルで本物みたいだ」
怖さを全く感じていない聖は、のんびりした口調で通り過ぎるものを繁々と眺めながら感想を述べている。
一方、楓斗はといえば……
「ばあっ!」
「ひっ」
突然出てきたお化けに小さく声を上げて怖がっている。



