「私のこと殺していいから!」



苺菜は涙目でそう叫んだ。
すると、男は笑いを止め、カッターナイフを仕舞って、おもむろに苺菜の側へ歩いてきた。

「君は死にたい?」

男に問われ、苺菜は頷いた。

「それは、何のために?」

「…自分の……」

「復讐の為…ですね?」

さっきまでふざけていた男の口調が変わった。

「君が死ねば、早ければ明日にはこの学校はマスコミでいっぱいになる。そして、いじめ問題についての報道が各メディアで取り上げられる。それを見た視聴者たちは一斉にいじめの加害者達を攻撃する。世間からの度を越した攻撃に耐えられずいじめっ子とその家族のメンタルはボロボロ…心身ともに病んで腐って壊れていきましたとさ。
と、こんなシナリオかな?君が考えたのは。」

あまりにも図星であった。
苺菜が教室に入ってきたばかりの頃に呟いた一言を立ち聞きしていたのだろうか?
それにしても、この男は苺菜のことを見透かし過ぎている。