「…でも、そう上手くいくかな?
例えば、学校側がいじめは無かったと隠蔽したら?
自殺は君の個人的な悩みによるものだったと断定したら?
最悪の場合、ご両親とのトラブルが原因で自殺したということに捏造されるかもしれない。」

最後の一例を聞いて、苺菜はぞっとした。
そんな事になれば、いじめっ子どころか、自分を14年間大切に育ててくれた両親の人生を狂わせる事になる。家族にだけは迷惑かけたくないと、今まで必死にいじめられていることを隠してきたのに。

「それに、もし仮に君のシナリオ通り、いじめがあった事実が世間に知られたとしても、
君をいじめた奴らが毎日怯えながら地獄のような人生を歩んでいくとは限らない。
ああいう人間には、罪悪感なんてもの無いから。
世間から批判されようが住所を特定されようが、「なんで私がこんなことされなきゃなんねーの意味わかんねーw悪いことしてませんけど?」などとしか思えないだろう。世間の目なんて気にせず周りに迷惑ばかりかけてのうのうと生きていくだろうね。」

男に言われ、苺菜は俯いた。