発表会は、元々年長児の最後の発表会だった。
パパは、年中出張だから最後の発表会は出れない筈だった。

「なんか、ジジに発表会出れてよかったなって言われてるみたい」

だれかの不幸さえなきゃ、きっとパパは家にいない。
その誰かが、ジジだっただけ。

「最後、出れてよかったね!」
まるで、お父さんが導いてくれたみたいに。

不思議な感じ。
子供の発表会。

終わって、家へ帰ればジジがいる。
冷たく横たわるジジを、思い出すと涙が出そうになる。

娘が大人になった証ーー。
お父さん、見て居てね。

強く生きて見せるから。