どうしてだろう。

最期に父と会話したのは、少しばかり怒り気味で軽いケンカの朝だった。

ろくに顔も見ないで、外出しそれっきり。

「りんご、子供が帰って来たら剥いて貰おうかな」


うん、帰って来ても、元気な父はいない。




"後、もって一週間です"




一週間ーー?

ううん、1日も、持たなかった。

12月3日、19時11分。

助からなかった。

まだ、67歳だった。

若すぎる父の死。
今思えば、父は何か感じていたんじゃないか、と思う。


"可愛い子供を産んでくれて、俺はいつ死んでもいい"


亡くなる一週間前だった。