ゆっくりと顔を上げると、バチっと視線がぶつかって。


恥ずかしさが最高潮になる。


「真っ赤」


「……早凪くんが変なこと言うから」


「だから、変なことじゃないでしょ」


そう言った彼の手が私の頬に伸びてきて、優しく撫でる。


……莉々ちゃんのことが、好きなくせに。


なんでこんなことに、してくるのよ。


「花火もうすぐだね」


どこからかそんな声が聞こえてきてハッとすると、早凪くんも私の頬から手を離してから「行こっか」っとだけ言って、花火がよく見える河原へと向かった。







「すごい人……」


「離さないでよ」


そう言って手をギュッと握りなおした早凪くんに、素直にコクンと頷く。


河原に着いてから、ちょうど2人が並んで立てる場所を確保して、花火が始まるのを待つ。


なんだかんだ、私、早凪くんと2人で花火見るんだな。


ほんの数十分前までは、落ち込んで仕方なかったのに。



「始まるぞ!」



誰かのそんな声がして顔をあげると、目の前に、ヒュ〜〜っと花火が上がり出すのが見えて。