「自分でもよくわからないけど、ゆるといると不思議と落ち着く。不安とかそういうのなくなって……」


「……えっ、ちょ、早凪くんっ」


早凪くんの指が私の髪の毛に触れて、そのまま私の耳にかけられる。


「ゆる、触られると熱くなるもんね」


「いや、意味わかんないから……ひっ」


突然、耳にチクリと痛みが走って、身体がビクンと反応してしまう。


何……今の……。


「早凪くん何して……」


「耳噛んだ」


「っ、は、はい?」


早凪くんのその噛み癖、絶対にどうにかしたほうがいいよ!!


強く叱りたい気持ちもあるけれど、早凪くんが不安で夜眠れなかったこととか、暗闇が苦手なこととか、理由を聞いちゃうと余計、あまり強く言い切れなくて。


変に甘やかしてしまう。


「……さっきした話、秘密だよ?」


「早凪くんが小さい頃に倉庫に隠れたって話?」


「うん。こんな話、ゆるにしかしない」


「言わないけど……」


『ゆるにしかしない』
そんなセリフに不覚にもキュンとして。