去年と変わらない景色の通学路。
だけど、変わったことが2つ。


1つは桃香が東京へ
転校してくることが決まった。
だから残りの2年間、
6人で過ごすことができる。


2つ目は隣には海人君がいる。
手を繋いで
桜並木をくぐっている。


去年は海人君の後を
ちょこちょこ着いていっていたけど、
今は同じ歩幅で歩いている。


顔を見上げて目が合えば
お互いに微笑み合い
名前を呼び、会話をする。


「ねぇ、去年私が海人君に
学校まで連れて行ってもらったの
覚えてる?」


「もちろん。
だってあの時俺は
初恋の女の子と再会したんだから。
忘れるわけない。」


”初恋”そのワードに胸が高鳴る。


「最初本当にびっくりしたんだよ!
全然違う人かと思った!」


「ごめん、どう接したらいいか
わかんなかった。」


あの時の海人君は
誰も寄せ付けないようなオーラで
悲しい目をしていた。