10月27日③(sideランス)
包帯が取れたとき、オレの目は全てが見えるようになっていたが、どうしても見たいものは見ることが出来なかった。
メグはすぐに帰ってくると言った。
オレは嬉しそうにそれを信じて、いつまでも病室で待っていた。
「兄貴………もう、帰らないと……」
迎えにきたフレドが、困ったような顔をしている。
「メグと入れ違いになったらダメだろ?もう少し待つよ」
「…………メグは………来ないよ」
「何言ってるんだ?来るって言ったぞ」
「……彼女の契約は、兄貴の目の手術が終わった時に切れている。最初からそういう約束だった」
フレドの言うことが良く飲み込めない。
言葉がわからなくなってしまったのだろうか、全く理解が出来ない。
「僕が兄貴に手術を受けさせるために、彼女に依頼した。彼女にならそれが出来ると思ったからだ」
「フレド……良く、わからない。メグはどこに行ったんだ?戻って来るんだろう?」
「メグなんて最初からいないんだよ!」
「は…………ははっ、バカだな、お前も会ってるじゃないか!ていうか、お前が雇ったんだろう?」
オレの頭がおかしいのか、フレドの方がおかしいのか、全てが靄に包まれたようになって真実がまるで見えてこない。
フレドもまるで、言いたいことが言えないようなジレンマを抱えている風にも見えた。
「とにかく!兄貴は働け。オリヴィアに持ち逃げされた分、稼いでくれよ。捕まったのはいいが、全部使われた後だったしな」
「ああ、働くさ!だが、先にメグのことを教えろ!お前は何を知っている!?」
「ハッキリ言おうか!?メグは兄貴のことを何とも思ってない!あれは仕事だったんだ!彼女は職務をこなしただけだ、わかったか!」
あまり聞いたことのないフレドの大声と、語られた真実にオレは言葉が出なかった。
騙されていたということか?
彼女はオレに手術を受けさせるために気のある素振りをしたというのか?
「愛されてはいなかったのか……オレは……また……」
俯くオレに、フレドが青いファイルを手渡してきた。
そんなもの今読む気は更々なかったが、鬼のような顔になっているフレドを見て、仕方なくページをめくった。
そこにはオリヴィアの調書が挟まれていた。
オリヴィアは、ジェラルドと共謀しオレにメリーとジェラルドの写真を送り付け………
何だと!?
「………これは!?」
「わかったか!?兄貴はまんまとジェラルドに騙されてたんだ。そして、メリーを信じずに遠ざけた。一言聞けば済むことだったんだ。それを、被害者面して愛されてなかったなんてよく言えるな!そりゃあ愛されないさ!兄貴がメリーを信じなかったから、メリーも兄貴を信じなかった。信頼がないのに愛情なんてあるもんか!」
「……………………メリーは、オレを裏切ってなかったのか」
「少なくとも裏切ってはな!だが、何度も言うが愛されてはないぞ!愛想は尽かされたかもだがな」
せせら笑うフレドは、何故か少し悲しそうにも見える。
その時、フレドの携帯が鳴った。
面倒臭そうに電話に出ると、次の瞬間ホッとしたような顔をして、電話口でありがとうと言って切る。
「ジェラルドが逮捕されたよ。これで、終わったな。さぁ、帰るぞ、兄貴」
フレドに促されるまま、オレは立って病室を出た。
体の感覚も、思考能力も停止していた。
ただ、オレが初めてメリーを見たときのその笑顔が、顔も知らないメグに重なって、どうしようもなく胸が痛んだ。
包帯が取れたとき、オレの目は全てが見えるようになっていたが、どうしても見たいものは見ることが出来なかった。
メグはすぐに帰ってくると言った。
オレは嬉しそうにそれを信じて、いつまでも病室で待っていた。
「兄貴………もう、帰らないと……」
迎えにきたフレドが、困ったような顔をしている。
「メグと入れ違いになったらダメだろ?もう少し待つよ」
「…………メグは………来ないよ」
「何言ってるんだ?来るって言ったぞ」
「……彼女の契約は、兄貴の目の手術が終わった時に切れている。最初からそういう約束だった」
フレドの言うことが良く飲み込めない。
言葉がわからなくなってしまったのだろうか、全く理解が出来ない。
「僕が兄貴に手術を受けさせるために、彼女に依頼した。彼女にならそれが出来ると思ったからだ」
「フレド……良く、わからない。メグはどこに行ったんだ?戻って来るんだろう?」
「メグなんて最初からいないんだよ!」
「は…………ははっ、バカだな、お前も会ってるじゃないか!ていうか、お前が雇ったんだろう?」
オレの頭がおかしいのか、フレドの方がおかしいのか、全てが靄に包まれたようになって真実がまるで見えてこない。
フレドもまるで、言いたいことが言えないようなジレンマを抱えている風にも見えた。
「とにかく!兄貴は働け。オリヴィアに持ち逃げされた分、稼いでくれよ。捕まったのはいいが、全部使われた後だったしな」
「ああ、働くさ!だが、先にメグのことを教えろ!お前は何を知っている!?」
「ハッキリ言おうか!?メグは兄貴のことを何とも思ってない!あれは仕事だったんだ!彼女は職務をこなしただけだ、わかったか!」
あまり聞いたことのないフレドの大声と、語られた真実にオレは言葉が出なかった。
騙されていたということか?
彼女はオレに手術を受けさせるために気のある素振りをしたというのか?
「愛されてはいなかったのか……オレは……また……」
俯くオレに、フレドが青いファイルを手渡してきた。
そんなもの今読む気は更々なかったが、鬼のような顔になっているフレドを見て、仕方なくページをめくった。
そこにはオリヴィアの調書が挟まれていた。
オリヴィアは、ジェラルドと共謀しオレにメリーとジェラルドの写真を送り付け………
何だと!?
「………これは!?」
「わかったか!?兄貴はまんまとジェラルドに騙されてたんだ。そして、メリーを信じずに遠ざけた。一言聞けば済むことだったんだ。それを、被害者面して愛されてなかったなんてよく言えるな!そりゃあ愛されないさ!兄貴がメリーを信じなかったから、メリーも兄貴を信じなかった。信頼がないのに愛情なんてあるもんか!」
「……………………メリーは、オレを裏切ってなかったのか」
「少なくとも裏切ってはな!だが、何度も言うが愛されてはないぞ!愛想は尽かされたかもだがな」
せせら笑うフレドは、何故か少し悲しそうにも見える。
その時、フレドの携帯が鳴った。
面倒臭そうに電話に出ると、次の瞬間ホッとしたような顔をして、電話口でありがとうと言って切る。
「ジェラルドが逮捕されたよ。これで、終わったな。さぁ、帰るぞ、兄貴」
フレドに促されるまま、オレは立って病室を出た。
体の感覚も、思考能力も停止していた。
ただ、オレが初めてメリーを見たときのその笑顔が、顔も知らないメグに重なって、どうしようもなく胸が痛んだ。

