10月27日①
ランスの手術は成功し、術後の経過も凄く順調だった。
入院中も彼は優しい声でメグを呼び、その存在を確かめるようにずっと離さない。
そんな様子を私は、どこか遠くで見ているような気がしていた。
実はメグは私が演じているメイドではなく実在していて、彼らはこれからずっと一緒に生きていくんだと、他人事のように思ったりするのだ。
その方が良かった………。
これから彼が遭遇する不幸に比べたら、私の不幸なんてまだ甘い。
『信じて愛した人に裏切られるということ』
これ以上の不幸なんてない。
「うん、だいぶいいね。今日の午後にでも包帯をとることにしましょう」
「本当ですか!ああ。良かった!メグ、メグどこ?」
ランスが呼ぶ声に、私は意識を引き戻され彼の手の元へ向かった。
「今日の午後だって!包帯を取るときは一緒にいてくれ」
「……はい。もちろんです。楽しみ、ですね」
「ああ!こんなに嬉しいのは久しぶりだ!何もかも君のお陰のような気がするよ!」
「あはは……大袈裟ですよ」
「大袈裟なもんか!メグはオレの恩人だし、……それに……」
「……ランス様、あの、お医者様がまだいらっしゃいますが?」
はっ、として顔を赤らめるランスを見て、医師は大声で笑い「どうぞごゆっくり」と病室を後にした。
「……返事を今もらえないか?」
「え?………あの……あっ」
返事とは多分あの告白の答え。
「……ランス様、楽しみは後にとっておきませんか?その方が喜びも2倍かもしれませんよ!」
私のその答えをランスは「yes」と受け取ったようで、全身で喜びを表現しながら私を抱き締める。
「良かった…………本当は自信がなかったんだ。一度離婚もしてるし、あ、君もだな。そう思うと、オレ達はお互い結婚に失敗しているもの同士、きっとうまく行く。だって、もう同じ間違いをしないようにするだろ?」
「………同じ、間違いって?」
「そうだな、君の方はどうだったかは知らないけど、オレとメリーは………話し合うことをしなかったからな。今度はちゃんと良く話し合って何でも二人で解決して行くんだ」
「…………そ、ですね……あの、もう、奥様のことは………」
なんで私……こんなこと聞いたんだろう。
「え?……あ、うん、たぶんどこかで会っても、普通に話せる気がするよ。どうした?心配してるのか?大丈夫だよ、オレが好きなのはメグだから」
「あ…………はっ……はい……」
だから、聞かなきゃ良かったのに。
この答えを知っていたのに、バカだな私。
「ランス様、私、退院の準備をしに一度家に帰りますね。軽く掃除とかもしてきます」
「ああ、うん。出来るだけ早めに帰ってきてくれよ」
「ええ、わかってます!それじゃ……あ……」
掠れて出なくなってしまった声に、ランスは気づいてはいない。
病院の廊下ですれ違う看護師や入院患者が、不思議そうな顔で私を見るのも特に気にはならなかった。
ぐしゃぐしゃの酷い泣き顔の私は、病院を出てひたすら走る。
もうどうしても、ここにはいたくなかったから。
ランスの手術は成功し、術後の経過も凄く順調だった。
入院中も彼は優しい声でメグを呼び、その存在を確かめるようにずっと離さない。
そんな様子を私は、どこか遠くで見ているような気がしていた。
実はメグは私が演じているメイドではなく実在していて、彼らはこれからずっと一緒に生きていくんだと、他人事のように思ったりするのだ。
その方が良かった………。
これから彼が遭遇する不幸に比べたら、私の不幸なんてまだ甘い。
『信じて愛した人に裏切られるということ』
これ以上の不幸なんてない。
「うん、だいぶいいね。今日の午後にでも包帯をとることにしましょう」
「本当ですか!ああ。良かった!メグ、メグどこ?」
ランスが呼ぶ声に、私は意識を引き戻され彼の手の元へ向かった。
「今日の午後だって!包帯を取るときは一緒にいてくれ」
「……はい。もちろんです。楽しみ、ですね」
「ああ!こんなに嬉しいのは久しぶりだ!何もかも君のお陰のような気がするよ!」
「あはは……大袈裟ですよ」
「大袈裟なもんか!メグはオレの恩人だし、……それに……」
「……ランス様、あの、お医者様がまだいらっしゃいますが?」
はっ、として顔を赤らめるランスを見て、医師は大声で笑い「どうぞごゆっくり」と病室を後にした。
「……返事を今もらえないか?」
「え?………あの……あっ」
返事とは多分あの告白の答え。
「……ランス様、楽しみは後にとっておきませんか?その方が喜びも2倍かもしれませんよ!」
私のその答えをランスは「yes」と受け取ったようで、全身で喜びを表現しながら私を抱き締める。
「良かった…………本当は自信がなかったんだ。一度離婚もしてるし、あ、君もだな。そう思うと、オレ達はお互い結婚に失敗しているもの同士、きっとうまく行く。だって、もう同じ間違いをしないようにするだろ?」
「………同じ、間違いって?」
「そうだな、君の方はどうだったかは知らないけど、オレとメリーは………話し合うことをしなかったからな。今度はちゃんと良く話し合って何でも二人で解決して行くんだ」
「…………そ、ですね……あの、もう、奥様のことは………」
なんで私……こんなこと聞いたんだろう。
「え?……あ、うん、たぶんどこかで会っても、普通に話せる気がするよ。どうした?心配してるのか?大丈夫だよ、オレが好きなのはメグだから」
「あ…………はっ……はい……」
だから、聞かなきゃ良かったのに。
この答えを知っていたのに、バカだな私。
「ランス様、私、退院の準備をしに一度家に帰りますね。軽く掃除とかもしてきます」
「ああ、うん。出来るだけ早めに帰ってきてくれよ」
「ええ、わかってます!それじゃ……あ……」
掠れて出なくなってしまった声に、ランスは気づいてはいない。
病院の廊下ですれ違う看護師や入院患者が、不思議そうな顔で私を見るのも特に気にはならなかった。
ぐしゃぐしゃの酷い泣き顔の私は、病院を出てひたすら走る。
もうどうしても、ここにはいたくなかったから。

