素敵な協議離婚~あなたが恋するメイドの私~

10月20日②

病院に着くと、フレドがきっちりとしたスーツに黒のブリーフケースといういつもの格好で、ロビーのソファーに座っていた。
そして、私達を見つけると主を見つけた犬のように走ってやって来る。

「良かった、まだ、今からだよね。時間が空いたから僕も付き添うよ」

「ああ、済まない。すぐ終わる予定だから、メグと待っていてくれ」

「ああ、わかったよ!」

ランスは繋いでいた私の手を口元に持っていき、その薬指にそっと口付け言った。

「早く、君が見たい。君に会いたい。もう少しだけ、待ってて」

愛の告白のような言葉に一瞬頭が真っ白になったけど、後ろでニヤニヤしているフレドが目の端に映ると、一気に現実に引き戻された。

「がっかりしますよ。あんまり期待しないで下さい」

「どんな君でもいいよ」

ランスの甘い言葉も、フレドの変顔が見事に相殺してくれて、私的にはとても都合が良い。
メグに対する甘い言葉をあまり聞きたくなかったし、それはなぜ?と問いかける自分自身の言葉も聞きたくはなかった。


担当の看護師が来て、私は持ってきた荷物を渡すとランスは看護師と共に手術へと向かった。

「愛が深すぎるね」

フレドは私をソファーに促しながら、今度は真剣な顔で話す。

「え?……ああ、ランスね。メグに対する愛情って凄いでしょ?」

「本当にそれだけかなぁ」

「何?どういうこと?」

「いくらなんでも、あのランス・ガードナーが会ったばかりの相手にこれほど気を許すかなって」

「あのランスって……その意味がわからないわ。そりゃあ、やり手の弁護士だったのは知ってるけど」

「やり手どころか……黒を白に変えてしまえるほどの弁護士だよ」

「へぇ……そんなやり手の弁護士も、ジェラルドのすぐバレる嘘に騙されたじゃないの」

フレドはばつが悪そうに俯いた。

「確かにそうだ。だけど、それほど彼にとってのメリーは大切だったんじゃないかな」

「フレド。そういう話は………」

「ごめん!もう言わないよ。あ、そうそう、そのジェラルドの件なんだけど……」

フレドはブリーフケースから、青いファイルに入った書類を取り出し私に手渡した。

「私も電話をかけてるんだけど、全然つかまらな………これ、どういうこと?」

私は渡された書類を見て、自分の目を疑った。

「ジェラルドとオリヴィアが共犯……?あの写真を撮って送ったのはオリヴィアで、指示したのはジェラルド?……嘘……」

「嘘じゃない。昨日警察からオリヴィアを捕まえたと連絡が来てね。それで、わかったんだ。あの二人は共犯だ」