10月12日
次の日、私がいつものように朝早くガードナー家に着くと、毎日その時間に決まって庭に佇んでいたランスの姿はなかった。
彼は居間のソファーに座り、ヘッドホンで音楽を聞いている。
メグとして一番最初に彼を見たときのギスギスしたような様子が消え、何か満ち足りた感じの暖かい雰囲気がランスの回りを包んでいた。
視線を感じたのか、気配を感じたのか、ランスはヘッドホンを外しゆっくりと顔をあげ私の名を呼んだ。
「メグ、おはよう」
「おはようございます、ランス様」
私の声を確認すると、スッと立ち上り声のした方に右手を伸ばす。
「どこだ?」
「ここですよ、さぁ、朝食に行きましょう」
「ああ」
ランスの伸ばした手に添わせるように自分の手を重ね、反対の手で彼の背中を押しサンルームまでゆっくりと歩く。
いつもと同じことを繰り返しているだけなのに、今日はとても心が痛かった。
「ランス様、手術を決められたとか……」
「ん?なんで知ってるんだ?」
「昨日、フレド様に会ったんです、その時に……」
ランスは歩みを止め、私の手を強く握り探るように言った。
「フレドと君は……そういうことではないよな?」
「は?そういうこと、というのは?」
「男女の仲」
はぁ………………。
まぁ、メリーの時のトラウマがあるのはわかるけど、あまり猜疑心が強いのもどうかと思う。
彼は本来こういう性格なんだろう。
一目惚れをするくらいだから、きっと思い込みが強くて嫉妬深い。
「違います!給金の支払い口座を伝える為に会っただけです。その時に手術の話を」
「そうか!いや、そうならいいんだ。ごめんよ、変なことを聞いて」
うわー、態度が180度違う……
「いえ……それでどうして突然手術を受ける気に?」
「ああ。うん、いや、なんとなくだ」
包帯の巻かれていない頬の部分がやけに赤いのは何故だろう?
「なんとなく?それは嘘。あんなに嫌がっていたのに突然受けるだなんて。さぁ、ほんとのこと、言って下さい」
「………ああ、もう。わかった。…………手術をして、この目で早くメグが見たいんだ」
「み、見たい?私を?」
「そうだ、恥ずかしいからもう聞かないでくれ……」
彼は耳まで赤くして俯いている。
そんな理由で?………メグを見たい、というだけの理由であんなに嫌がった手術を受けると言うの!?
バカな人……。
弁護士でとても賢いのに、なんでこんな性悪な女の企みに気づかないの?
自分の望みの為に騙して、傷付けて、またトラウマを植え付けようとしているのに。
「私なんて見ても、がっかりするだけですよ。……さぁ、座って!食べましょう」
溢れ出る罪悪感を必死で振り払いながら、私は精一杯彼好みのメイドを演じ続けた。
次の日、私がいつものように朝早くガードナー家に着くと、毎日その時間に決まって庭に佇んでいたランスの姿はなかった。
彼は居間のソファーに座り、ヘッドホンで音楽を聞いている。
メグとして一番最初に彼を見たときのギスギスしたような様子が消え、何か満ち足りた感じの暖かい雰囲気がランスの回りを包んでいた。
視線を感じたのか、気配を感じたのか、ランスはヘッドホンを外しゆっくりと顔をあげ私の名を呼んだ。
「メグ、おはよう」
「おはようございます、ランス様」
私の声を確認すると、スッと立ち上り声のした方に右手を伸ばす。
「どこだ?」
「ここですよ、さぁ、朝食に行きましょう」
「ああ」
ランスの伸ばした手に添わせるように自分の手を重ね、反対の手で彼の背中を押しサンルームまでゆっくりと歩く。
いつもと同じことを繰り返しているだけなのに、今日はとても心が痛かった。
「ランス様、手術を決められたとか……」
「ん?なんで知ってるんだ?」
「昨日、フレド様に会ったんです、その時に……」
ランスは歩みを止め、私の手を強く握り探るように言った。
「フレドと君は……そういうことではないよな?」
「は?そういうこと、というのは?」
「男女の仲」
はぁ………………。
まぁ、メリーの時のトラウマがあるのはわかるけど、あまり猜疑心が強いのもどうかと思う。
彼は本来こういう性格なんだろう。
一目惚れをするくらいだから、きっと思い込みが強くて嫉妬深い。
「違います!給金の支払い口座を伝える為に会っただけです。その時に手術の話を」
「そうか!いや、そうならいいんだ。ごめんよ、変なことを聞いて」
うわー、態度が180度違う……
「いえ……それでどうして突然手術を受ける気に?」
「ああ。うん、いや、なんとなくだ」
包帯の巻かれていない頬の部分がやけに赤いのは何故だろう?
「なんとなく?それは嘘。あんなに嫌がっていたのに突然受けるだなんて。さぁ、ほんとのこと、言って下さい」
「………ああ、もう。わかった。…………手術をして、この目で早くメグが見たいんだ」
「み、見たい?私を?」
「そうだ、恥ずかしいからもう聞かないでくれ……」
彼は耳まで赤くして俯いている。
そんな理由で?………メグを見たい、というだけの理由であんなに嫌がった手術を受けると言うの!?
バカな人……。
弁護士でとても賢いのに、なんでこんな性悪な女の企みに気づかないの?
自分の望みの為に騙して、傷付けて、またトラウマを植え付けようとしているのに。
「私なんて見ても、がっかりするだけですよ。……さぁ、座って!食べましょう」
溢れ出る罪悪感を必死で振り払いながら、私は精一杯彼好みのメイドを演じ続けた。

