10月11日④
「ランス様………少しお時間をいただけますか?私も突然のことで混乱しています。必ず近い内に返事をしますので……」
この提案にランスは嫌がるどころか、むしろ喜んで承諾し、急がないからゆっくり考えてくれとまた私の手を取った。
私はさっきの下衆な考えをとりあえず封印し、目の前に積まれた問題の数々を先に整理することに決めた。
告白の返事は保留し、まずフレドに報告をするのが先だと思ったのだ。
そうして昼食を共に取り、とりとめのない話をしながら夕食を済ませると、私は急いで帰宅しフレドに連絡を取った。
一時間もしないうちに、アパートに現れたフレドは満面の笑みで私に抱きついてくると、嬉しそうに言った。
「メリー!どんな魔法を使ったんだ!?兄貴がさっき手術を受けるって言ってきてさ」
「……え?!…………ああ、まぁ、その話は後でね。それよりも話があるのよ、大事な話」
私は、今日ランスに聞いた話をそのままフレドに伝えた。
「変な話だね……なぜジェラルドはそんな嘘を?うーん……それで、当のジェラルドには連絡してみたかい?」
「ええ、さっき電話してみたわ……でも繋がらなかった。スタジオの方にもかけてみたけど誰も出なかったわ」
「……そうか……僕の方も少し探ってみるよ。しかしなぁ、まさかそんな嘘でランスとメリーの仲が悪くなったなんてな……思ってもみなかったよ」
「そうね……」
でも本当にその嘘だけでああなったのかはわからない。
例えそのジェラルドの嘘が無かったとしても、いずれ破綻は来たんじゃないだろうか、と思う。
私達は最初から、話し合う、わかり合う、信じ合うということをしなかったのだから。
ジェラルドの嘘を鵜呑みにして、私を避けたランスも、ランスの様子をおかしいと思わなかった私も、どちらも結婚不適合者だ。
「それで?まだ魔法の話を聞いてないよ」
目を子供のようにキラキラさせながら、フレドは本物の魔法使いがいるようにこちらを見ている。
「……どうやら、メグはランスを籠絡したらしいわ……」
でもまさか、こんなにすぐに手術を受けると言うなんて……まだ私、返事もしていないのに。
「おっと!ふーん、へぇ、やっぱりなぁ」
「やっぱりって何よ!」
フレドは黒いブリーフケースの中から、弁護士に似つかわしくないファンシーなアルバムを取り出すと、パラパラとページを捲りある場所で手を止めた。
そして、ニッコリ笑ってアルバムを反転させ私にそれを見せてくる。
「まぁ!懐かしい!これ、演劇祭の……」
「そう。新人賞の時だよ。確かこの時の君の役は『メグ』というメイドだった」
そうだ………今まで忘れていたけど、メグという名前のメイド役だった。
「これは兄貴のアルバムなんだ。君がこの新人賞をとった時、来賓として会場にいた兄貴は君に一目惚れをしたんだ」
「………嘘でしょ?」
「ほんと。だからどうしても、君と結婚したかったんだよ。例え、お金をちらつかせるようなことをしてもね」
「ランス様………少しお時間をいただけますか?私も突然のことで混乱しています。必ず近い内に返事をしますので……」
この提案にランスは嫌がるどころか、むしろ喜んで承諾し、急がないからゆっくり考えてくれとまた私の手を取った。
私はさっきの下衆な考えをとりあえず封印し、目の前に積まれた問題の数々を先に整理することに決めた。
告白の返事は保留し、まずフレドに報告をするのが先だと思ったのだ。
そうして昼食を共に取り、とりとめのない話をしながら夕食を済ませると、私は急いで帰宅しフレドに連絡を取った。
一時間もしないうちに、アパートに現れたフレドは満面の笑みで私に抱きついてくると、嬉しそうに言った。
「メリー!どんな魔法を使ったんだ!?兄貴がさっき手術を受けるって言ってきてさ」
「……え?!…………ああ、まぁ、その話は後でね。それよりも話があるのよ、大事な話」
私は、今日ランスに聞いた話をそのままフレドに伝えた。
「変な話だね……なぜジェラルドはそんな嘘を?うーん……それで、当のジェラルドには連絡してみたかい?」
「ええ、さっき電話してみたわ……でも繋がらなかった。スタジオの方にもかけてみたけど誰も出なかったわ」
「……そうか……僕の方も少し探ってみるよ。しかしなぁ、まさかそんな嘘でランスとメリーの仲が悪くなったなんてな……思ってもみなかったよ」
「そうね……」
でも本当にその嘘だけでああなったのかはわからない。
例えそのジェラルドの嘘が無かったとしても、いずれ破綻は来たんじゃないだろうか、と思う。
私達は最初から、話し合う、わかり合う、信じ合うということをしなかったのだから。
ジェラルドの嘘を鵜呑みにして、私を避けたランスも、ランスの様子をおかしいと思わなかった私も、どちらも結婚不適合者だ。
「それで?まだ魔法の話を聞いてないよ」
目を子供のようにキラキラさせながら、フレドは本物の魔法使いがいるようにこちらを見ている。
「……どうやら、メグはランスを籠絡したらしいわ……」
でもまさか、こんなにすぐに手術を受けると言うなんて……まだ私、返事もしていないのに。
「おっと!ふーん、へぇ、やっぱりなぁ」
「やっぱりって何よ!」
フレドは黒いブリーフケースの中から、弁護士に似つかわしくないファンシーなアルバムを取り出すと、パラパラとページを捲りある場所で手を止めた。
そして、ニッコリ笑ってアルバムを反転させ私にそれを見せてくる。
「まぁ!懐かしい!これ、演劇祭の……」
「そう。新人賞の時だよ。確かこの時の君の役は『メグ』というメイドだった」
そうだ………今まで忘れていたけど、メグという名前のメイド役だった。
「これは兄貴のアルバムなんだ。君がこの新人賞をとった時、来賓として会場にいた兄貴は君に一目惚れをしたんだ」
「………嘘でしょ?」
「ほんと。だからどうしても、君と結婚したかったんだよ。例え、お金をちらつかせるようなことをしてもね」

