「とにかく咲桜に触っていたいし、咲桜の視線に男の人が入ると阻止するし、吹雪さんが咲桜に寄って行けば追い払うし、咲桜に寄って行った頼なんて冷えた声で呼ばれて凍り付いてましたし、在義パパがお箸破壊しようがタオル破こうがノーダメージですもん」


……改めて聞くと恥ずかしい人だな。誰だ。私の好きな人か。


ふと絆さんを見ると、目を点にして真っ白になっていた。


砂になって風に吹かれていきそうだ。


それを楽しそうに見る降渡さん。……降渡さんも流夜くんの幼馴染だなぁ。


「そーいうワケよ? 絆」


にやにやする降渡さん。


降渡さんがこっそり流夜くんから被害を被っていたことは、本人は知らない。


ギギギ、と錆びた音でも出そうな動作で絆さんが首を動かした。


「降渡……それは新人類?」


「お前が神宮って呼んで毛嫌いしてるヤツだねぇ」


片頬杖をついてのんびり答える降渡さん。絆さんすごい表現するな。


途端、額を両手で抑えてがくっとうなだれた。


「うそよ……あの女なら誰でもいい神宮がそんな彼女バカだったなんて……」