笑満と揃った声は浮かれていた。


空いているカウンター席に並んで座った私と笑満に龍生さんが出してくれたのは、オムライスのグリーンサラダ添えだった。美味しそう~。


遙音先輩は龍生さんと、特別養子縁組をすることがほぼ確定している。


『夏島遙音』から『二宮遙音』になるんだ。


んで、遙音先輩と付き合っている笑満を、龍生さんは娘扱いすると宣言している。


前は笑満のことも『笑満娘(じょう)ちゃん』って呼んでいたけど、今は呼び捨て。


つまりは将来的にはそういうことだね。


「なんか降渡、楽しそうね?」


サンドイッチを手にしながら、絆さんが言う。


コーヒーカップをソーサに置いた降渡さんは、んー? と生返事だ。


「在義さんがりゅうに妬きまくってるって聞いてから思い出し笑いが止まんなくてさー」


「は? なんで在義様が?」


……絆さんは何故か在義父さんを『在義様』と呼ぶ。うちの親父は何やってんだか。


「りゅうが咲桜ちゃんに手ぇ出しちゃったから」


「………。はあ⁉ あンの節操ナシが咲桜ちゃんに⁉」


降渡さん。言い方。


牙を剥いた絆さんの矛先は、ここにいない流夜くんの代わりに私に向いた。


「咲桜! 考え直しな!」