「先生⁉」


「うん。机使わなきゃ出来ないだろ」


「自分で歩けますから!」


「甘やかしまくるって言ったはずだけど?」


「もはや私の心臓への破壊行為です――――っ!」


騒ぐ咲桜をなだめすかして、さっきと同じ格好でローソファに座る。


せめて隣に、と咲桜から異論があったけど当然却下だ。


やっと心を知ることが出来た想い人、離すわけないだろ。


思えば、俺の生き方は咲桜を中心に回っていた。


確か……一年間の留学から帰ってきて、再会した途端大泣きして抱き付いて来た咲桜を見て、この子は俺が護るんだって思った。


その頃は『お兄ちゃん』って呼ばれていたから、妹を護る兄的な心情なんだと思っていた。


でも、それでは全然追いつかなくて。


いつの間にか咲桜を幸せにすることが、俺が自分で決めた、自分が生きている理由になっていた。