咲桜が手の平を返して、握り合う形になった。
俺は真っ直ぐ、咲桜だけを見つめる。
「本当ですか?」
「本当」
「……これからは、私の安全のためを思っても、話さないって選択はしないでくれますか?」
「咲桜が望むなら、隠し事はしない。咲桜に影響が出るような話なら、その危険性も伝えて全部話す」
「……そう、約束してくれますか?」
「するよ。俺と咲桜の関係も、正しく叔父と姪ではないから、例え戸籍があったとしても問題はないよ。ただ、桃子さんが美流子であることを伝えるべきか悩んで、言えなかった。咲桜がどう思うかわからなくて……。咲桜が、相手が俺でもいいと言ってくれるなら、俺は生涯咲桜を一番に愛するよ。ずっと見守って来た子、じゃない。たった一人の俺の女として、俺が護っていく」
「じゃあ、流夜くんは私が護ります――」
やわらかい華の香りが、俺を包んだ。
咲桜がその華奢な両腕を広げて、俺の背中に廻した。



