「が、学校は?」
「今日土曜日だし」
「あ、そ、そっか……」
ダメだ。敬語を忘れるぐらい頭が軽いパニックを起こしている。
先生が、札幌にいる?
私に会いにきた?
どうして、なんで、を心で繰り返していると、先生がとても響く声で言った。
「大人になった的井を見にきた」
ドクン、と心臓が跳ねる。
この先生にしか反応しない鼓動も久しぶりだ。
「本物の先生ですか?」
「そうだよ」
「大人になった私はどうですか?」
「あんま変わってない」
「ちょっと……!」
「はは。嘘。綺麗になった」
先生は柔らかい表情で笑った。
先生が瞳に映るだけで、私は涙が出そうになる。
どうして先生じゃなきゃダメなんだろう。
どうして先生だったのだろう。
17歳だった私は、先生を好きになった理由を最後まで探していた。
けれど、今ならはっきりと分かる。
先生の存在すべてが、愛しくて、恋しくて。
この三年間でたくさんの人と出逢ったけれど、これからも出逢っていくけれど。
先生以上の人なんて、私にはいないのだ。



