「じゃあ、行こうか」
「うん」
お母さんは家に鍵をかけて、その鍵をポストへと静かに入れた。そして私たちはバス停に向かって雲ひとつない青空の下を歩く。
「お母さん。バスの時間、何時だっけ?」
「あと15分くらいかな」
バスに乗って空港に着いて飛行機に乗ってしまえば、一時間半で北海道に上陸する。
そう考えると、交通費はかかるけれど時間にすれば遠くはない。
「六花!」
バス停に着いて飛行機のチケットなどを確認していると……。私のことを呼ぶ元気な声が飛んできた。
「え、な、菜穂?」
ビックリする暇もなく、菜穂は抱きついてきた。
「へへ。見送りに来ちゃったよ」
菜穂とは昨日の晩に夜通し電話をしていた。
喋っても喋っても喋り足りなくて。キリがないねと笑いながら電話を切ったのが明け方過ぎ。その時は全然見送りのことなんて言ってなかったのに……。
「来たのは私だけじゃないよ」
菜穂が視線をずらすと、その奥には和谷先輩がいた。



