先生と17歳のあいだ





次の日。私は物がひとつもない自分の部屋を確認するように眺めていた。


部屋はこんなに広かっただろうかと思うほど殺風景になり、必要なものは北海道へ。いらないものはすべて処分した。



「忘れ物はない?」


お財布やスマホなどが入ったリュックを背負ったところでお母さんが呼びにきた。


「うん。平気だよ。お母さんこそ大丈夫?」


私たちはもうこの家に帰ってくることはない。


お母さんと顔を合わせにくいのか、今日までお父さんはずっと外泊をしていて顔すら見ていないけれど、先ほど私のスマホにメールが届いていた。
 


【困ったことがあったらいつでも頼りなさい】


笑っちゃうぐらい他人行儀な文章だったけれど、お父さんに対しての憎しみはひとつもない。


きっと私には分からない大人の事情がたくさんあって。新しい人に気持ちが傾いたキッカケもたくさんあって。


どれもこれも、仕方ないことだったと思える日はまだ遠いかもしれないけれど。


『いつかもう少し時間が経ったら、迷った過去のことを笑って話せる日がくるよ。お前の両親も、的井自身も』


先生の言葉があるから、私は大丈夫。