それから車は高速を下りて一般道へと戻った。そして再び走ったあと、先生は車を停めた。
「着いたよ」
先生の声とともに私はシートベルトを外す。波の音に導かれるようにして車から降りると、そこには夜の海が広がっていた。
「……うわ」
海岸沿いにある建物の光が水面に反射して、まるで海の中を漂うようにキラキラとしていた。
ここは茨城県にある大洗港。(おおあらいこう)
先生は「こっちに来て」と、私の誘導するように防波堤を歩きはじめた。
テトラポットに打ち寄せる波の音が心地よくて、ほのかに潮の香りもした。
「やっぱこの季節の海はさみーな」
防波堤の先端に着いて、先生はコンクリートの上に腰を下ろした。
「でも、寒さが気持ちいいです」
そう言って私は先生の隣に座った。
空にはうさぎのシルエットがはっきりと分かるくらいの満月が浮かんでいた。
月明かりが水面に一筋の道を作り、その上を歩けてしまうんじゃないかと思うほど、瞳に映る海の景色は綺麗だった。



